繰り返す血栓、繰り返す流産には理由があるかもしれません

抗リン脂質抗体症候群は、自己抗体の影響で血液が固まりやすくなる病気です。若い年代での脳梗塞や血栓、繰り返す流産の背景にこの病気が隠れていることがあります。診断がつけば、薬で血栓や流産のリスクを大きく下げることができます。
こんな症状、心当たりはありませんか?
- 若いうちに脳梗塞や血栓症を起こした
- 足が急に腫れて痛む
- 突然の胸の痛みや息苦しさがあった
- 流産や死産を繰り返している
- 皮膚に網目状のまだら模様が出る
- 健診で血小板が少ないと言われた
「ひとつでも当てはまる」と感じたら、早めにご相談ください。
抗リン脂質抗体症候群とは
抗リン脂質抗体という自己抗体が原因で、動脈や静脈に血栓(血のかたまり)ができやすくなる病気です。女性に多く(男女比約1対5)、SLEなどの他の膠原病に合併する場合と、単独で起こる場合(原発性APS)があり、およそ半数は原発性です。
症状は血栓ができる場所によって異なります。妊娠中には流産・死産や妊娠合併症の原因となることがあり、不育症の重要な原因のひとつです。
診断 ─ 当院での進め方
血栓症の既往や妊娠の経過をていねいに伺い、血液検査で抗リン脂質抗体(ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体、抗β2グリコプロテインI抗体)を調べます。
これらの抗体が12週間以上にわたって持続して陽性であることを確認する必要があるため、時間をおいて再検査を行います。一時的な陽性では診断できないためです。
治療
血液を固まりにくくする抗凝固療法が治療の中心です。血栓症を起こしたことがある場合は、ワルファリンなどの抗凝固薬を長期にわたって内服します。動脈の血栓には低用量アスピリンなどの抗血小板薬が選ばれることもあります。
妊娠中や妊娠を希望される場合はワルファリンが使えないため、低用量アスピリンとヘパリン注射で血栓を予防します。これにより流産のリスクを大きく下げることができます。
日常生活では、脱水を避けて水分を十分にとること、長時間同じ姿勢を続けないことも血栓の予防につながります。
「原因不明の流産を繰り返している」「若いのに血栓ができた」という方は、一度検査をおすすめします。妊娠を希望される方は、妊娠前からの管理が特に大切です。

