喉が乾いてヒリヒリする、張り付き感がある、食べ物を飲み込みにくい。このような喉の違和感が長く続いていたら、原因の一つとして「シェーグレン症候群(シェーグレン病)」という病気が隠れている可能性が考えられます。
シェーグレン症候群は中年女性に多く、全国で約7万人の患者がいると言われています。また、診断には至っていない潜在的な患者さんを含めると10〜30万人程度にのぼると考えられています。
ただし、喉の乾燥や違和感は脱水や薬の副作用、口呼吸など別の原因でも起こるため、症状全体から見極めることが大切です。
この記事では、シェーグレン症候群によって喉に違和感が生じる理由、基本的な症状、日常生活でできる対処方法、医療機関を受診したほうがよい症状について解説します。

目次
シェーグレン症候群で喉に違和感が出ることはある?
シェーグレン症候群は、涙や唾液をつくる臓器を中心に炎症が起こる自己免疫疾患です。
症状の一つとして知られている、唾液の分泌量が減る「ドライマウス」によって、喉の乾燥やヒリヒリ感、張り付き感、飲み込みにくさといった違和感が現れることがあります。
喉が乾燥してヒリヒリする

唾液が少なくなると、口や喉の粘膜を十分に潤せなくなり、喉がカラカラする・ヒリヒリする・張り付く感じがする・焼けるように感じるといった症状が現れることがあります。
ただ、こうした症状は長時間話したときや、空調の効いた乾燥した場所で過ごしたときに感じる場合もあります。
食べ物が喉に引っ掛かる
唾液には食べ物を湿らせ、飲み込みやすい状態にする働きがあります。そのため、唾液が少なくなると、パンやクラッカーなど水分の少ない食品が口や喉に張り付きやすくなります。
食事中に何度も水を飲まないと飲み込めない、錠剤を飲みにくい、食べ物が喉に残るように感じる場合は、口腔乾燥(ドライマウス)が関係している可能性があります。乾燥が強くなると、噛む・飲み込む・話すといった動作が難しくなることもあります。
声のかすれ、空咳(からせき)

口から喉にかけて乾燥すると、声がかすれたり、頻繁に咳払いをしたくなったりすることがあります。また、シェーグレン症候群では気道の乾燥や肺の病変などに伴い、空咳が続く場合もあります。
ただし、咳や声のかすれには、感染症、アレルギー、逆流性食道炎、肺の病気など、ほかにもさまざまな原因があります。長引く場合は、乾燥だけが原因と決めつけないことが大切です。
その他の基本症状
目の乾燥
目が乾く、ゴロゴロする、目に砂が入ったように感じる、まぶしい、目が疲れやすいといったドライアイの症状も代表的です。目薬を頻繁に使用している、涙が出にくいと感じる場合もあります。
虫歯や口内炎が増える
唾液の分泌が減ると、喉の違和感につながるだけでなく口の中の細菌や食べかすを洗い流す働きが低下します。そのため、虫歯や歯周病、口内炎、口腔カンジダ症などが起こりやすくなることがあります。
関節痛や強い疲労感
目や口の症状だけでなく、全身のだるさ、関節痛、筋肉痛、皮疹、手足のしびれなどを伴うことがあります。肺や腎臓、神経などに病変が生じる場合もあるため、乾燥症状以外の体調変化も医師へ伝えることが大切です。
シェーグレン症候群による口の乾燥が「喉の違和感」につながる理由

シェーグレン症候群は、国が定める指定難病の一つです。本来は細菌やウイルスから体を守る免疫が、自分の組織を誤って攻撃することで起こる自己免疫疾患と考えられています。
唾液をつくる唾液腺に慢性的な炎症が起こると、唾液を分泌する機能が低下します。その結果、口の中がネバつく、喉が乾く、水分がないと食べ物を飲み込めないといった症状が現れるのです。
シェーグレン症候群には、ほかの膠原病を伴わずに発症する場合と、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどに合併する場合があります。すでに膠原病の治療を受けている方も、新たに口や目の乾燥を感じたときは主治医へ伝えましょう。
喉の違和感はシェーグレン症候群以外でも起こる
口や喉の乾きは、シェーグレン症候群に限った症状ではありません。
水分不足による脱水、鼻づまりや睡眠中の口呼吸、緊張や不安、糖尿病などでも口が乾くことがあります。高血圧の薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬など、服用している薬の副作用として唾液が減る場合もあります。
薬を飲み始めてから口が乾くようになった場合でも、自己判断で服用を中止せず、処方した医師や薬剤師へ相談してください。
また、喉の痛みや違和感には、風邪などの感染症、アレルギー、口腔カンジダ症、逆流性食道炎などが関係している可能性もあります。
目の乾燥、関節痛、強い疲労感などを伴っているかどうかも、原因を見分ける手がかりになります。
喉の違和感や口の乾きを和らげる方法
シェーグレン症候群による乾燥症状には、口や喉の潤いを保つための対症療法を行います。症状の程度によっては、人工唾液や唾液の分泌を促す薬などが使用される場合もあります。
少量の水をこまめに飲む

一度に大量の水を飲むのではなく、少量ずつこまめに口へ含むと、口や喉の乾燥を和らげやすくなります。
食事中にも適度に水分を取り、乾燥した食品は汁物と組み合わせたり、やわらかく調理したりすると飲み込みやすくなります。
室内の乾燥を防ぐ
エアコンの使用中や就寝中は、室内の空気が乾燥しやすくなります。加湿器などを使い、適度な湿度を保ちましょう。
鼻づまりがあり、口呼吸になっている場合は、耳鼻咽喉科で原因を確認することも大切です。
唾液の分泌を促す
症状や歯の状態に問題がなければ、シュガーレスガムを噛むことで唾液の分泌を促せる場合があります。唾液腺マッサージや、処方薬による治療が行われることもあります。
酸味の強い食品は唾液が出やすくなる一方、口内炎や粘膜の痛みがある方では刺激になるため、無理に取り入れる必要はありません。
口腔内を清潔に保つ

ドライマウスが続くと虫歯や歯周病、口腔感染症のリスクが高まります。毎日の歯磨きやうがいに加え、歯科医院で定期的な検診を受けましょう。
洗口液を使用するときは、口の乾燥を悪化させにくい、アルコールを含まない低刺激のものが適しています。甘い飲み物や飴を頻繁に摂ると虫歯につながるため、糖分の入っていないものを選びましょう。
喉の違和感で受診を検討する目安
次のような症状が続く場合は、リウマチ・膠原病内科などへの相談を検討しましょう。
・水を飲んでも口や喉の乾きが改善しない
・目と口の乾燥が同時に続いている
・乾いた食品や錠剤を飲み込みにくい
・虫歯や口内炎が増えた
・関節痛や強い疲労感を伴っている
・耳の下や顎の周囲が繰り返し腫れる
・すでに関節リウマチなどの膠原病がある
食べ物や水分をほとんど飲み込めない、呼吸が苦しい、喉の腫れが急激に強くなったといった場合は、速やかに医療機関を受診してください。
また、首や脇の下などにしこりがある、原因の分からない発熱が続く場合も、早めに主治医へ相談する必要があります。
シェーグレン症候群が疑われるときに行う検査
シェーグレン症候群は、喉の違和感だけで診断することはできません。
診察では、口や目の乾燥が始まった時期、服用している薬、関節痛や疲労感などの全身症状を確認します。血液検査では、抗SS-A抗体や抗SS-B抗体、抗核抗体などを調べます。
さらに、唾液や涙の分泌量を測定し、必要に応じて唾液腺の組織検査や眼科での検査などを組み合わせて総合的に診断します。
喉や口の乾きが続く場合はご相談ください
シェーグレン症候群では、唾液の分泌量が減ることで口から喉にかけて乾燥し、ヒリヒリ感、声のかすれ、飲み込みにくさなどが現れることがあります。
一方で、喉の違和感には、脱水、薬の副作用、口呼吸、感染症などの原因も考えられます。喉の乾燥だけで自己判断せず、目の乾燥や関節痛、疲労感など、ほかの症状も含めて原因を確認することが大切です。
さいとう整形外科リウマチ科 日進分院の治療方針

シェーグレン症候群をはじめとする膠原病は、症状に個人差があり、診断までに時間がかかることも少なくありません。
「検査では異常がないと言われたものの、口や目の乾燥が続いている」「関節痛や強い疲労感の原因が分からない」といった場合は、一つひとつの症状を丁寧に確認することが大切です。
さいとう整形外科リウマチ科日進分院では、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医である院長が、これまでの臨床経験や培った知見を生かし、リウマチ・膠原病の診療を行います。
問診や触診、血液検査などから症状を総合的に確認し、本院(難病指定医療機関)と密に連携を取りながら、症状に応じて必要な検査や治療につなげられる体制を整えています。
原因が分からない症状も諦めず、患者さんのお悩みに向き合います。まずはお気軽にご相談ください。
