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全身性エリテマトーデス(SLE)の初期症状とは?治療方法と日常生活における注意点を解説

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原因の分からない発熱や疲れやすさ、関節の痛み、頬や鼻に現れる赤い発疹などが続くと、「何かの病気ではないか」と不安になる方もいるでしょう。

これらの症状はさまざまな病気や体調不良でみられますが、複数の症状が続く場合には、全身性エリテマトーデス(SLE)をはじめとする膠原病が関係している可能性もあります。

全身性エリテマトーデスは、免疫の異常によって全身のさまざまな場所に炎症が起こる病気です。初期症状は風邪や疲労などと区別しにくく、現れる症状や程度にも個人差があります。

この記事では、全身性エリテマトーデスの初期症状や検査、治療方法、日常生活で注意したいことについて解説します。

膠原病のひとつ「全身性エリテマトーデス(SLE)」とは

疲れている女性

全身性エリテマトーデスは、免疫が自分自身の細胞や組織を誤って攻撃する「自己免疫疾患」で、膠原病に分類されます。

本来、免疫には細菌やウイルスなどから体を守る役割があります。しかし、全身性エリテマトーデスのような自己免疫疾患では免疫の働きに異常が生じ、自分の体を異物とみなして攻撃してしまいます。

原因は一つに限定されておらず、遺伝的な要因に加えて、紫外線、感染症、ホルモン、薬剤など、複数の要因が関係して発症すると考えられています。

全身性エリテマトーデス(SLE)の主な初期症状

全身性エリテマトーデスの初期には、発熱や疲れやすさ、関節痛、皮膚の発疹など、全身にさまざまな症状が現れることがあります。

症状の分類 主な症状
全身症状 ・原因の分からない発熱
・体のだるさ、疲れやすさ
・食欲低下
関節症状 ・手指、手首、肘、膝などの痛みや腫れ
皮膚症状 ・両頬から鼻にかけて赤い発疹が現れる
・紫外線を浴びた後に発疹が出る
・発熱やだるさが強くなることがある
皮膚・粘膜症状 ・髪が抜ける
・髪が細くなる
・口の中に口内炎や潰瘍ができる
血管症状 ・寒さや緊張をきっかけに、指先が白、紫、赤へと変化する

 

これらすべての症状が一度に現れるわけではなく、症状の種類や程度には個人差があります。

また、これらの症状はほかの病気や一時的な体調不良でもみられるため、症状だけで全身性エリテマトーデスと判断することはできません。

ここからは、それぞれの症状について詳しく解説します。

【全身症状】原因の分からない発熱や全身のだるさ

発熱・疲れやすさ・食欲の低下・全身のだるさのように、特定の部分ではなく体全体に不調が現れます。

発熱やだるさは風邪や睡眠不足などでも起こるため、それだけでは病気を判断できません。しかし、十分に休んでも改善しない場合や、関節痛や発疹などの症状も伴う場合は注意が必要です。

【関節症状】手指や手首などの関節痛・腫れ

免疫の異常によって関節に炎症が起こり、手指や手首、肘、膝など、関節を動かしたときの痛みやこわばりが現れることがあります。

朝起きたときに手指が動かしにくいといった症状が現れることがありますが、これは関節リウマチなど他の病気でも起こるため、検査による見極めが必要です。

関節リウマチでは関節症状が中心となる一方、SLEでは発熱や皮膚症状、口内炎、脱毛など、関節以外の症状を伴うことがあります。

【皮膚症状】発疹などが現れる蝶形紅斑・光線過敏症

蝶形紅斑

全身性エリテマトーデスの特徴的な皮膚症状の一つが「蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)」です。

蝶形紅斑とは、両側の頬から鼻にかけて、蝶が羽を広げたような形に現れる赤い発疹を指し、かゆみや痛みを伴わないケースが多く見られます。

また、紫外線を浴びた後に皮膚の発疹が現れたり、発熱やだるさなどが強くなる場合は、「光線過敏症」を引き起こしている場合があります。

屋外で長時間過ごした後に皮膚症状や体調不良が繰り返される場合は、受診時に医師へ伝えましょう。

【血管症状】指先の色が変化するレイノー現象

手の色の変化

寒さや精神的ストレスなどをきっかけに、手足の指先が白色や紫色になり、その後赤く変化する症状を「レイノー現象」といいます。

こうした症状は、指先への血流が一時的に低下することで起こり、冷たさやしびれ、痛みを伴う場合があります。

レイノー現象はSLE以外の膠原病や、病気のない方にもみられることがあります。繰り返し起こる場合や、ほかの症状を伴う場合は医療機関へ相談しましょう。

部位ごとに現れる症状

症状が現れる箇所 症状
腎臓 ・ループス腎炎
・タンパク尿
・血尿
・顔や足のむくみ
・高血圧
肺 ・胸膜炎
・胸の痛み
・息苦しさ
心臓 ・心膜炎
・胸の痛み
・動悸
・息苦しさ
神経 ・頭痛
・けいれん
血液 ・赤血球、白血球、血小板の減少
・貧血(息切れ、疲れやすさ)

 

SLEによって腎臓に炎症が起こる「ループス腎炎」は、自覚症状がほとんどないまま進行することもあります。

そのため、SLE(全身性エリテマトーデス)が疑われる場合は、目立った症状の有無にかかわらず、血液検査や尿検査などによって体の状態を確認することが大切です。

全身性エリテマトーデス(SLE)が疑われる場合に行う検査

問診や診察による症状の確認

整形外科医が患者に問診を行っている様子

問診では、症状が始まった時期や痛む場所、発熱の有無、日光との関係、手足の冷えといった症状を確認します。

診察では、皮膚の発疹や関節の腫れ、むくみなどがないかを確認します。

症状が出たり落ち着いたりを繰り返す場合は、発疹の写真や体温、症状が現れた日などを記録しておくと、診察時に状態を伝えやすくなります。

血液検査

血液検査では、血球の数や炎症の程度、腎臓や肝臓の状態などを確認します。

また、「抗核抗体」や「抗二本鎖DNA抗体」などの、自分の細胞や組織に反応する抗体(自己抗体)を調べることがあります。

ただし、抗核抗体が陽性であっても、必ず全身性エリテマトーデスと診断されるわけではありません。症状やほかの検査結果と合わせた判断が必要です。

尿検査

尿検査では、タンパク尿や尿潜血の有無などを確認します。

タンパク尿は、本来は腎臓でろ過されて体内に留まるはずのタンパク質が、尿に漏れ出てしまっている状態のことを言います。

腎臓に炎症が起きていても初期には自覚症状が乏しいことがあるため、全身性エリテマトーデスの診断や経過観察において大切な検査になります。

画像検査や超音波検査

関節の痛みや腫れがある場合には、関節リウマチなどとの鑑別のため、レントゲン検査や関節エコー検査を行うことがあります。

超音波検査では、関節の腫れや炎症の有無を詳しく確認するため、体に超音波を当てて内部の血流などを確認します。

全身性エリテマトーデス(SLE)の治療方法

全身性エリテマトーデスの治療は、薬物療法が中心です。過剰な免疫反応を抑えて炎症を軽減し、臓器への影響や症状の悪化を防ぐことを目指します。

皮膚や関節の症状が中心なのか、腎臓などの臓器にも炎症があるのかによって、使用する薬や治療の強さが変わります。

ヒドロキシクロロキン
免疫の働きを調整し、皮膚や関節などの症状の改善を目指して使用されます。

副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド
免疫反応や炎症を速やかに抑えます。症状や重症度に応じて使用量が調整されます。

免疫抑制薬
過剰な免疫の働きを抑えます。ループス腎炎のように腎臓まで症状が及んでいる場合などに、ステロイドと併用されることがあります。

生物学的製剤
免疫反応に関わる特定の物質や細胞に作用し、病気の活動性を抑えます。

    全身性エリテマトーデスと診断されたら、日常生活で注意したいこと

    紫外線対策を行う

    アームカバーをつける女性

    全身性エリテマトーデス(SLE)の患者さんにおいて、光線過敏症はよく見られる症状です。

    紫外線を浴びることは症状のぶり返し(再燃)や悪化のきっかけになるため、日頃からの対策が大切です。

    晴れた日だけでなく、曇りの日や窓際で過ごす際にも紫外線を浴びることがあるため、外出の際は紫外線に気を付けてお出かけしましょう。

    外出時には日焼け止めを使用し、帽子や日傘、長袖の衣服などを活用しましょう。

    感染症を予防する

    ステロイドや免疫抑制薬を使用していると、感染症にかかりやすくなる場合があります。

    手洗いやうがい、人混みでのマスク着用など、基本的な感染対策を意識しましょう。発熱や咳などがある場合は、自己判断で様子を見続けず、主治医へ相談してください。

    無理をせず休息を取る

    過労や睡眠不足、強いストレスは体調を崩すきっかけになることがあります。

    体調がよい日でも無理を重ねず、休息や睡眠を確保しましょう。適度な運動ができる状態かどうかは、症状や治療内容によって異なるため、主治医に確認することが大切です。

    薬を自己判断で中止しない

    症状が落ち着いていても、体内では病気の活動が続いている場合があります。

    薬の量を急に減らしたり、中止したりすると再燃につながる可能性があるため、必ず医師の指示に従って服用してください。

    妊娠を希望する場合は事前に相談する

    全身性エリテマトーデスがあっても、病状を安定させ、計画的に準備することで妊娠・出産を目指せる場合があります。

    ただし、妊娠中には使用できない薬もあるため、妊娠を希望する場合は服薬を変更する前に主治医へ相談しましょう。

    原因の分からない関節痛はご相談ください

    全身性エリテマトーデスの初期には、発熱や倦怠感、関節痛、皮膚の発疹、口内炎、抜け毛など、ほかの病気でも見られる症状が現れることがあります。

    一つひとつは日常的に起こり得る症状ですが、複数の不調が続いている場合や、関節の腫れ、朝のこわばり、日光による体調悪化などがある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

    さいとう整形外科リウマチ科日進分院では、膠原病が疑われる症状や、関節の腫れや痛み、こわばり、関節リウマチについて診療しています。

    問診や触診、超音波検査などを組み合わせ、一人ひとりの症状を丁寧に確認します。原因の分からない関節痛や全身の不調でお悩みの方は、ご相談ください。

    リウマチ・膠原病科について

    執筆者

    経歴

    コンテンツ監修

    さいとう整形外科リウマチ科 院長

    斎藤究

    さいとう整形外科リウマチ科 院長 斉藤究

    日本整形外科学会専門医・日本リウマチ学会専門医・日本整形外科超音波学会会員

    経歴

    1999年

    国立浜松医科大学卒 国立国際医療センター 内科研修医

    2001年

    東京災害医療センター 救命救急レジデント

    2002年

    刈谷総合病院 整形外科

    2006年

    名古屋医療センター 整形外科リウマチ科 /
    名古屋医療センター 卒後教育研修センター指導医

    2010年

    Los Angeles Veterans Affairs hospital留学

    2011年

    さいとう整形外科リウマチ科を平和が丘に開院

    主な著書

    「あなたも名医! 運動器エコー 痛みの臨床」など6著書(共著含む)