「関節リウマチの治療を続けているけれど、生理前になると関節が痛む」「毎月、生理が近づくと手指のこわばりや倦怠感が強くなる」と感じていませんか。
関節リウマチのある方のなかには、月経周期に伴って痛みやこわばりが変化すると感じる方もいるでしょう。
ただし、月経周期が関節リウマチそのものの炎症を悪化させるかどうかは、現時点では明確になっていません。
本記事では、生理前に関節リウマチの痛みが強くなる理由として考えられることや、症状が現れたときの対処法、受診・相談の目安について解説します。
目次
生理前に関節リウマチの痛みが強くなることはある?

関節リウマチと診断されている方のなかには、生理前から生理中にかけて、関節の痛みやこわばり、倦怠感が強くなると感じる方がいます。
これは、月経周期に伴う女性ホルモンの変動や生理前に起こる睡眠不足、疲労、むくみなどが、免疫の働きや痛みの感じ方に影響している可能性があります。
日本リウマチ財団のリウマチ情報センターの「リウマチQ&A(Q.60)」でも、女性ホルモン(エストロゲン)が低い時期である、生理10日ほど前から生理終了までに症状が悪化しやすいという考えも示されていると言われています。
ただ、月経周期と関節リウマチとの関連は確定しておらず、PMSとの区別も難しいとされています。「生理前に痛みを強く感じること」と「関節内の炎症が実際に悪化していること」は、必ずしも同じではありません。
これは、生理前の不調によって痛みに敏感になり、普段より関節痛を強く感じている場合もあります。
生理前に痛みが強くなる状態が毎月続く場合は、月経周期と症状を記録し、主治医へ相談することが大切です。
月経周期と関節リウマチの関係

月経周期のなかでは、エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンの分泌量が増減します。
排卵後に増えたこれらのホルモンは、妊娠が成立しなければ生理直前に低下し、その後、生理が始まります。
こうした女性ホルモンは、免疫や炎症の働きにも関係していると考えられるため、生理前のホルモン量の変化によって、関節リウマチの痛みやこわばりを強く感じるのかもしれません。
ただし、月経周期と関節リウマチの症状との関係は、まだ十分に解明されていません。また、症状の変化には個人差があり、すべての方が生理前に悪化するわけではありません。
関節リウマチの症状は、月経周期以外にも次のような要因で変化します。
- 関節リウマチ自体の活動性
- 睡眠不足や疲労
- 精神的なストレス
- 気温や気圧の変化
- 薬の効果や服用状況
- 感染症や体調不良
生理前に症状が強くなった場合も、月経周期だけを原因と考えず、関節の腫れや症状が続く期間などを確認することが大切です。
生理前に関節痛が強くなる理由
痛みに敏感になっている

生理前は、頭痛、腹痛、腰痛、倦怠感、気分の落ち込みなど、月経前症候群(PMS)の症状が現れることがあります。
睡眠不足や疲労、気分の変化などが重なると、普段より痛みに敏感になる場合があります。その結果、関節の炎症が大きく変化していなくても、関節痛を強く感じることがあります。
むくみで手指を動かしにくくなる
生理前は、ホルモンの変動によって身体に水分をため込みやすくなり、手足のむくみや身体の重さを感じることがあります。
むくみによる手指の動かしにくさや張りを、関節リウマチの腫れやこわばりの悪化と感じる場合もあります。
ただし、見た目にも分かる関節の腫れや熱感がある場合は、関節リウマチの炎症が強くなっている可能性もあります。
生理痛と関節リウマチの痛みが重なる
生理前から生理中は、プロスタグランジンという物質の働きにより、下腹部痛や腰痛、頭痛などが起こることがあります。
こうした痛みに関節リウマチの痛みが重なると、全身の痛みや不調をいつもより強く感じることがあります。
生理中の一時的な痛みと関節リウマチの再燃を見分ける目安
関節リウマチの疾患活動性(炎症)が再び強くなることを「再燃」と呼びます。
生理前に痛みを強く感じても、生理が始まって数日すると元の状態へ戻る場合は、月経に伴う一時的な変化の可能性があります。ただ、こうした症状の変化だけで、月経による変化なのか、関節リウマチの再燃かを見分けることはできません。
次のような場合は、関節リウマチの活動性が高まっている可能性があります。
| 月経に伴う変化の場合 | 再燃を疑うサイン |
| 毎月同じ時期に現れる | 月経周期に関係なく続く |
| 生理開始後に軽くなる | 生理後も改善しない |
| むくみ・だるさが中心 | 関節の腫れ・熱感が強い |
| 痛む関節が変わらない | 痛む関節が増える |
※この表はあくまで目安です。
関節の炎症が悪化しているかどうかは、症状だけでなく、触診、血液検査、関節エコーなどを組み合わせて判断します。
また、他の感染症や関節炎の可能性もありますので、関節リウマチの活動性の変化を含め、原因の確認が必要です。
生理前に関節リウマチの痛みが強くなる場合の対処法
月経周期と症状を記録する

生理日と関節症状を記録すると、月経周期との関係を把握しやすくなります。次の項目を、2~3か月程度記録してみましょう。
記録を診察時に見せることで、月経に伴う変化なのか、関節リウマチの活動性が高まっているのかを判断する材料になります。
記録する内容
- 生理が始まった日
- 痛む関節と痛みの強さ
- 関節の腫れや熱感
- 朝のこわばりが続いた時間
- 倦怠感やむくみなどの症状
- 使用した薬
- 睡眠時間や体調
無理のない範囲で身体を動かす
痛みがあるからといって関節をまったく動かさない状態が続くと、こわばりや筋力低下につながる場合があります。
関節に強い腫れや熱感がなければ、ストレッチや軽い体操などで無理なく身体を動かしましょう。痛みが強い場合は無理をせず、関節を休ませることも必要です。
睡眠と休息を確保する

生理前の睡眠不足や疲労は、痛みを強く感じる原因になります。普段より症状が出やすい時期は、予定を詰め込みすぎず、休息を確保しましょう。
薬を自己判断で増減しない
生理前に痛みが強くなっても、抗リウマチ薬やステロイド薬、鎮痛薬を自己判断で増減してはいけません。
鎮痛薬には、胃腸障害や腎機能への影響などの副作用があります。また、市販薬を追加すると、処方薬と同じ成分が重複したり、飲み合わせに問題が生じたりする可能性があります。
運動量に迷ったり症状がつらかったりする場合は、自己判断せず、医師や理学療法士へ相談してください。
生理前の関節痛を主治医へ相談する目安
関節リウマチと診断されている方は、次のような場合に主治医へ相談しましょう。
- 生理のたびに強い関節痛が現れる
- 痛みで仕事や家事、睡眠に支障が出ている
- 生理が終わっても症状が改善しない
- 関節の腫れや熱感が強くなった
- 朝のこわばりが以前より長くなった
- 痛む関節が増えた
- 鎮痛薬を使用する回数が増えた
- 発熱や強い倦怠感を伴っている
症状が月経周期と連動している場合も、関節リウマチの治療が不十分とは限りません。
診察では症状の記録や関節の状態を確認し、必要に応じて血液検査や関節エコーなどを行います。
生理前に関節リウマチの痛みが強くなる方は当院へご相談ください

関節リウマチのある方のなかには、女性ホルモンの変動や生理前の体調変化によって、関節の痛みやこわばりを強く感じる方がいます。
ただし、一時的に痛みを強く感じているのか、関節リウマチの炎症が悪化しているのかを、症状だけで見分けることは困難です。
さいとう整形外科リウマチ科日進分院では、触診・血液検査・関節エコーなどを組み合わせて関節の状態を評価します。
関節リウマチの炎症を抑えるだけでなく、炎症が抑えられた後も患者さんに痛みが残っている場合は、その痛みの改善も目指しています。
「生理前になると毎月痛みが強くなる」「関節リウマチの症状か分からない」という方は、お気軽にご相談ください。
