「関節リウマチとリウマチ性多発筋痛症って名前が似てるけど何が違う?」と気になっていませんか。
関節リウマチとリウマチ性多発筋痛症(りうまちせい たはつきんつうしょう)は、どちらも身体に炎症が起こり、痛みや朝のこわばりなどが現れる病気です。
特に高齢になってから発症する関節リウマチでは、肩や股関節周辺に症状が強く現れ、リウマチ性多発筋痛症との区別が難しい場合があります。
本記事では、リウマチ性多発筋痛症と関節リウマチの違いを、症状・検査・治療方法に分けて解説します。
目次
リウマチ性多発筋痛症と関節リウマチは別の病気
リウマチ性多発筋痛症と関節リウマチは、名前に「リウマチ」とついているため同じ病気のように思われることがありますが、それぞれ別の病気です。
リウマチ性多発筋痛症は原因が十分に解明されていない炎症性疾患で、肩や股関節周辺など複数の部位に、筋肉痛のような強い痛みやこわばりが現れます。
一方、関節リウマチは、免疫の異常によって主に関節の滑膜に炎症が起こる病気です。
リウマチ性多発筋痛症と関節リウマチの違い
リウマチ性多発筋痛症(PMR)とは

リウマチ性多発筋痛症は、主に50歳以上(60歳以上が多い)に発症し、両肩や首、腰、おしり、太ももなどに強い痛みやこわばりが現れる病気です。
「筋痛症」という名前がついていますが、筋肉そのものに炎症が起こる病気ではありません。肩や股関節の周囲にある滑液包(骨と腱・筋肉などの間にあり摩擦を軽減する、液体を含んだ袋状の組織)などに炎症が起こることが分かっています。
また、リウマチ性多発筋痛症では「巨細胞性動脈炎(きょさいぼうせいどうみゃくえん)」という血管炎を合併することがあります。強い頭痛やこめかみの痛み、物を噛んだときの顎の痛み、急な視力低下などがある場合は、早めの受診が必要です。
特に、急な視力低下や物が二重に見えるなどの視覚症状が現れた場合は、速やかに医療機関へ受診してください。
主な症状
・肩、首、腰まわりの朝のこわばり、痛み
・寝返りや立ち上がりがつらい
・発熱、倦怠感、食欲低下
関節リウマチ(RA)とは

関節リウマチは幅広い年齢の女性に多く、免疫の異常によって関節内の滑膜に炎症が起こる病気です。
手指や手首、足趾などの比較的小さな関節に痛みや腫れ、朝のこわばりが現れることが多く、関節を触ると柔らかく腫れていたり、熱っぽく感じたりすることがあります。
炎症が続くと関節の変形や機能低下につながることがあります。
主な症状
・手や足の痛み、腫れ、こわばり
・左右の同じような関節に症状がみられることがある
・関節を動かしにくい
・微熱、倦怠感、食欲低下
症状の違い

リウマチ性多発筋痛症(PMR)と関節リウマチ(RA)は、どちらも痛みやこわばりを生じる炎症性の病気ですが、主に症状が現れる場所に大きな違いがあります。
リウマチ性多発筋痛症では、主に両肩や首、腰、おしり、太ももなど、身体の中心に近い部分に痛みやこわばりが現れます。症状が比較的急に現れることも多く、寝返りや立ち上がり、腕を上げる動作がつらくなることがあります。
一方、関節リウマチでは、手指や手首、足趾などの比較的小さな関節に痛みや腫れ、こわばりが現れることが特徴です。特に、手指の付け根や第2関節、手首など複数の関節に腫れがみられる場合は、関節リウマチを疑う手がかりのひとつになります。
また、どちらも発熱や倦怠感、食欲低下などの全身症状を伴うことがあります。
主な違いを比較すると次のとおりです。
| 比較項目 | リウマチ性多発筋痛症 | 関節リウマチ |
| 発症年齢 | 主に50歳以上 | 幅広い年齢で発症 |
| 主な症状 | 痛み、朝のこわばり | 痛み、腫れ、朝のこわばり |
| 症状の部位 | 肩・首・腰・太ももなど | 手指・手首・足趾など |
| 血液検査(RF・抗CCP抗体) | 通常陰性 | 陽性の場合がある |
| 主な治療 | ステロイド中心 | 抗リウマチ薬中心 |
※これらはあくまで一般的な傾向です。
一般的にはこのような違いがありますが、症状や血液検査だけでは区別できないケースもあります。
特に、60歳以上に発症する「高齢発症関節リウマチ」は、リウマチ性多発筋痛症と症状がよく似ることがあるため、血液検査や画像検査などを組み合わせて判断することが大切です。
検査による当院の鑑別方法

リウマチ性多発筋痛症と関節リウマチは、どちらも痛みやこわばりがみられるため、症状だけでは見分けにくいことがあります。
そのため、症状や検査結果を確認しながら、どちらの病気が考えられるかを見分ける「鑑別」を行います。
当院では、症状が現れている部位や関節の腫れを確認したうえで、血液検査や画像検査を組み合わせて、どちらの病気が考えられるかを総合的に判断します。
血液検査
CRP・赤沈
CRPや赤沈(ESR)は、身体のなかで炎症が起きているかを確認する検査です。
リウマチ性多発筋痛症では、CRPや赤沈が大きく上昇することがあります。
一方、関節リウマチでも病気の活動性が高い場合には炎症反応が上昇するため、CRPが高いという理由だけでリウマチ性多発筋痛症と診断することはできません。
リウマトイド因子・抗CCP抗体
関節リウマチの診断で重要なのが、リウマトイド因子(RF)と抗CCP抗体です。
関節リウマチではこれらが陽性になることが多い一方、リウマチ性多発筋痛症では通常陰性です。
そのため、抗CCP抗体などが陽性の場合は、診断を検討するうえで重要な材料になります。ただし、RFや抗CCP抗体が陰性でも関節リウマチを否定することはできません。
触診・関節エコーで炎症の場所を確認

血液検査だけでは診断が難しいため、当院では関節も含めて丁寧に触診してから、必要な関節には超音波検査(関節エコー)を行います。
関節エコーでは、レントゲンでは分かりにくい関節内や周囲の炎症をリアルタイムで確認でき、評価に役立ちます。
リウマチ性多発筋痛症では、肩峰下・三角筋下滑液包炎など、肩や股関節周辺の炎症がみられることがあります。
一方、関節リウマチでは、関節の内側にある滑膜の炎症や腱鞘炎などを確認します。
「肩が痛い」という同じ症状でも、どこに炎症が起きているのかを確認することが、見分ける手がかりになります。
リウマチ性多発筋痛症と関節リウマチの治療方法の違い
リウマチ性多発筋痛症はステロイドが治療の中心

リウマチ性多発筋痛症では、副腎皮質ステロイドが治療の中心となります。
一般的には比較的少量から開始し、症状や炎症反応を確認しながら徐々に減量していきます。ただし、症状が改善したからといって急に中止すると再燃する可能性があるため、自己判断で減量・中止してはいけません。
長期間ステロイドを使用する場合は、骨粗鬆症や感染症などの副作用にも注意しながら治療を続けます。
再燃を繰り返す場合やステロイドを減らしにくい場合には、状態に応じて他の治療薬を併用することがあります。
関節リウマチは抗リウマチ薬が治療の中心
関節リウマチでは、関節の炎症を抑えて関節破壊を防ぐため、抗リウマチ薬による治療を行います。
メトトレキサートをはじめとした従来型抗リウマチ薬のほか、病状に応じて生物学的製剤やJAK阻害薬などが使用されます。
ステロイドや鎮痛薬を使用する場合もありますが、痛みだけを抑えるのではなく、関節内で起きている炎症そのものをコントロールすることが重要です。
早期から適切な治療を行い、関節の炎症が落ち着いた「寛解」を目指します。
関節の痛みが気になる方は当院へご相談ください

リウマチ性多発筋痛症は、肩や腰、太ももなど身体の中心に近い部分の痛みやこわばりが中心となる病気です。一方、関節リウマチでは手指や手首などの関節に炎症が起こり、腫れを伴うことが多いという違いがあります。
しかし、症状の出方には個人差があり、リウマチ性多発筋痛症でも関節リウマチとよく似た状態になる場合があります。
さいとう整形外科リウマチ科日進分院では、痛みのある場所だけでなく、手指や足趾を含めた全身の関節を触診します。
血液検査に加えて、必要に応じて関節エコーを行い、関節内の滑膜炎や肩周囲の滑液包炎など、どこに炎症が起きているのかを確認しながら診断しています。
「突然、両肩が痛くなって腕が上がらない」「関節や節々の痛みが気になる」という方は、当院へご相談ください。
