「関節リウマチと診断されたけれど、運動はしてもいい?」「食べてはいけないものはある?」と気になっていませんか。
関節リウマチになってから、炎症が起きている関節に強い負担をかけ続けると、痛みや腫れが強くなることがあります。
一方で、「関節リウマチだから安静にしなければ」と身体をまったく動かさなくなるのもおすすめできません。関節の状態が落ち着いている時には、適度に身体を動かして筋力や関節の動きを維持することも大切です。
本記事では、関節リウマチの方が日常生活で注意したい10項目と、関節への負担を減らすための具体的な工夫について解説します。
目次
関節リウマチで「してはいけないこと」は状態によって異なる
関節リウマチでは、「何をしてはいけないか」だけでなく、現在の関節に炎症があるかどうかを考えることが大切です。
関節が赤く腫れている、熱をもっている、動かすと強く痛むといった場合は、炎症が強くなっている可能性があります。
このような時に無理な運動や重労働を続けると、すでに炎症を起こして弱っている滑膜(関節を包む膜)や軟骨・骨にさらなる負担や摩擦が加わり、腫れや痛みが強くなる場合があります。
そのため、炎症が強い場合には、まずは関節を休ませることが大切です。
一方で、炎症が落ち着いている時も運動を取り入れなかった場合には、筋力が低下したり、関節の動かせる範囲が狭くなったりすることがあります。
その日の状態に合わせて、「休ませる」と「動かす」のバランスを取ることが重要です。
関節リウマチで「してはいけない10項目」と言われているのは?
日常生活で特に注意したいことを10項目に整理すると、次のとおりです。
関節リウマチで注意したいことは、すべての患者さんに共通する「絶対禁止事項」ではありません。関節の腫れや熱感、痛みの強さ、治療状況などによって適切な過ごし方は変わります。
注意したいこと
- 激しい運動をする
- 身体や関節を冷やす
- 和式トイレを使用する
- 高い枕を使用する
- 体重が増えすぎる
- 同じ姿勢を長時間続ける
- 重いものを持つ
- 長時間の正座をする
- 喫煙する
- ストレスを溜め込む
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.激しい運動をする

関節が腫れている、熱をもっている、安静にしていても痛いといった時に、激しい運動を無理に行うことは避けましょう。
ランニングやジャンプを繰り返す運動、重い負荷をかけた筋力トレーニングなどは、炎症のある関節に負担がかかる場合があります。
ただし、関節リウマチだから運動そのものを絶対にしてはいけないわけではありません。
症状が落ち着いている場合には、適度な運動によって関節を支える筋力や関節の動きを維持することも大切です。その日の関節の状態に合わせて、無理のない範囲で行いましょう。
運動後に翌日まで痛みや疲れが強く残る場合は、運動時間や強度を見直してみてください。
2.身体や関節を冷やす
持続的な寒さによって血管が収縮したり、関節周囲の筋肉や腱がこわばったりすることで、関節の痛みやこわばりを感じやすくなる方もいます。
冷えによって痛みやこわばりがつらくなる場合は、寒い時期だけでなく、夏場もエアコンの風を関節に直接当て続けないようにし、必要に応じて衣類やブランケットなどで調整しましょう。
「それなら温めた方がいい?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、赤く腫れて熱をもった関節は炎症が強くなっている可能性があります。
このような状態で温めると、血流が増えることで痛みや腫れが強くなる場合があるため、積極的に温めないようにしましょう。
※急性炎症(腫れ・熱感)が強いときはアイシングが有効な場合もあります。
3.和式トイレを使用する

和式トイレでは、膝や股関節、足首を大きく曲げた状態から立ち上がる必要があります。
膝や足首に炎症や痛みがある方にとっては、この深くしゃがむ動作が負担になる場合があります。しゃがむ時や立ち上がる時に痛みがある場合は無理をしないようにしましょう。
可能であれば洋式トイレを使用し、必要に応じて手すりなども活用すると関節への負担を減らせます。
4.高い枕を使用する
関節リウマチでは、手足だけでなく首の関節(頸椎)に症状が現れることがあります。
高すぎる枕などによって首が不自然に曲がった状態が続くと、首の痛みや違和感が強くなる場合があるため、自分の体格や寝姿勢に合った枕を使用しましょう。
頸椎に炎症が生じると、環軸椎亜脱臼(かんじくつい あだっきゅう)が合併症として発症することもあります。
首の痛みが続く、手足のしびれや力の入りにくさがある場合は、枕の高さだけで対処せず医療機関へ相談してください。
5.体重増加を放置する

体重が増えると、膝や股関節、足首など体重を支えている関節への負担も大きくなります。
さらに関節に痛みがあると運動量が減り、さらに体重が増えるという悪循環につながりかねません。
急激な減量や極端な食事制限は避け、栄養バランスを意識した食事と、その日の関節の状態に合わせた運動を組み合わせて、無理のない体重管理を心がけましょう。
6.同じ姿勢を長時間続ける
デスクワークやスマートフォンの操作、家事などで同じ姿勢を長時間続けると、関節がこわばったり、首や肩、腰などに負担が集中したりすることがあります。
仕事などで長時間座る必要がある方は、定期的に姿勢を変えたり、途中で立ち上がったりしましょう。
7.重いものを片手で持つ

関節リウマチでは、手指や手首に炎症が起こることが多いため、重いものを指先や片手だけで持つと関節への負担が大きくなります。
そのため、必要な場合は両手で持つ、荷物を小分けにする、カートや台車を使うなどの方法で、できる限り手首への負担を減らしましょう。
例えば、以下のような動作には注意しましょう。
・重い鍋を片手で持つ
・重い買い物袋を指先にかける
・大量の荷物を一度に運ぶ
8.長時間の正座をする
正座では、膝や足首を深く曲げた状態が続きます。特に膝や足首に炎症や痛みがある場合は、長時間の正座によってつらさが強くなることがあります。
椅子を利用する、途中で姿勢を変えるなどして、同じ関節に負担をかけ続けないようにしましょう。
9.喫煙をする

喫煙は関節リウマチの発症や病状との関連が指摘されているだけでなく、心血管疾患など全身の健康にも影響します。
関節リウマチそのものでも心血管疾患のリスクが高まるため、禁煙や血圧、血糖、コレステロールの管理も重要です。
自分だけで禁煙することが難しい場合は、医療機関へ相談しましょう。
10.ストレスを溜め込む
強いストレスや疲労が続くと、睡眠不足になったり、痛みを強く感じたり、日常生活のリズムが乱れたりすることがあります。
関節リウマチは全身の疲労感を伴うこともあるため、調子の悪い日に無理に予定を詰め込まないことも大切です。
十分な睡眠をとり、疲れを感じたら休憩するなど、活動と休息のバランスを意識しましょう。
関節への負担を減らす日常生活の工夫
関節リウマチになって大切にしたいのは、できないことを増やして生活を制限するのではなく、同じ動作をより少ない負担でできるよう、方法を変えていくことです。
例えば次のような工夫があります。
| 日常動作 | 関節への負担を減らす工夫 | |
| 鍋や食器を持つ | 片手ではなく両手で持つ | |
| 買い物 | カートやリュックの活用 | |
| 掃除 | フロアワイパーなどの活用 | |
| 料理 | 軽い素材の器具を選ぶ | |
| デスクワーク | 定期的に姿勢を変える | |
| ペットボトルを開ける | 自助具の活用(オープナーなど) | |
関節リウマチのリハビリでは、関節を動かす訓練だけでなく、このように毎日の動作を見直して生活しやすくすることも重要です。
さいとう整形外科リウマチ科日進分院でも、薬物療法だけでなくリハビリテーションを治療の柱の一つとしており、関節の動きや歩きづらさなどの改善を目指しています。
関節リウマチで食べてはいけないものはある?

関節リウマチだからといって、特定の食品を一律に禁止する必要はありません。
「これを食べるとリウマチが治る」「この食品を完全にやめれば炎症がなくなる」といった情報だけを信じて、極端な食事制限をすることは避けましょう。
特定の食品を避けることよりも、野菜や果物、魚、全粒穀物などを取り入れたバランスのよい食事を意識しましょう。アメリカリウマチ学会(ACR)では、関節リウマチの食事として地中海食に近い食事が条件付きで推奨されています。
また、特定の食事療法やサプリメントだけで関節リウマチをコントロールできる十分な根拠はありません。
治療薬によっては、アルコールやサプリメント、健康食品との組み合わせに注意が必要なことがあります。薬との飲み合わせを確認するため、医師や薬剤師に伝えておきましょう。
関節のこわばりや痛みにお悩みの方はご相談ください
関節リウマチで大切なのは、「してはいけないこと」を増やして生活を制限することではありません。
炎症が強い関節には無理をさせず、症状が落ち着いている時には適度に身体を動かしながら、関節への負担を減らす方法を身につけていくことが大切です。
当院のリウマチ治療は、患者さんの痛みに寄り添います
さいとう整形外科リウマチ科日進分院では、関節の腫れや熱感、動かした時の痛みなどを触診で確認し、必要に応じて血液検査や関節エコーなどを組み合わせて炎症の状態を確認します。
そのうえで、薬物療法・リハビリテーション・手術療法という三本柱を軸に、患者さん一人ひとりに合わせた治療を行っています。
私たちの掲げる治療目標は、関節の炎症が落ち着いた「寛解(かんかい)」を目指すだけでなく、患者さんがリウマチであることを忘れて生活できる状態を目指すことです。
「どこまで運動していいのか分からない」「仕事や家事をすると関節が痛む」という方は、当院へご相談くださいね。
