「若いのに腰痛が続く」その痛みには炎症が隠れているかもしれません

脊椎関節炎は、背骨や骨盤の関節、そして手足の関節に炎症が起こる病気のグループです。長引く腰痛が「ただの腰痛」ではなく炎症によるものだった、というケースは決して珍しくありません。近年は効果の高い治療薬が登場し、痛みを抑えて生活の質を保つことができるようになっています。
こんな症状、心当たりはありませんか?
- 腰や背中の痛み・こわばりが3か月以上続いている
- じっとしていると痛みが強くなり、動くと楽になる
- 朝、腰や背中がこわばって起き上がりにくい
- かかとやアキレス腱の付け根が痛む
- 手足の指が全体的に腫れる(ソーセージ指)
- 乾癬(皮膚の発疹)がある/手のひら・足の裏に水疱や膿疱がある
- 目が充血する・痛む(虹彩炎)
- 腹痛や下痢を繰り返している
「ひとつでも当てはまる」と感じたら、早めにご相談ください。
脊椎関節炎とは
背骨(脊椎)や骨盤の仙腸関節に炎症が起こる慢性の関節炎をまとめた呼び名です。比較的若い年代、男性に多い傾向があります。
皮膚の乾癬を伴う乾癬性関節炎、背骨が硬くなる強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎やクローン病に合併する腸炎関連関節炎、感染症のあとに起こる反応性関節炎などが含まれます。手のひらや足の裏に膿疱ができる掌蹠膿疱症に伴う骨関節症も、このグループとして扱われることがあります。
特徴は「安静にしていると悪化し、体を動かすと楽になる」炎症性の痛みです。ぎっくり腰や加齢による腰痛とは逆の性質を持つため、この点が診断の重要な手がかりになります。
診断 ─ 当院での進め方
痛みの性質と経過をていねいに伺い、乾癬や腸の病気の有無も併せて確認します。腱の付着部の痛みや指の腫れは、触診と関節エコーで炎症を直接確かめます。
画像検査では、仙腸関節のレントゲンやMRIで炎症の所見を確認します。血液検査では炎症反応を調べ、必要に応じてHLA-B27という体質のマーカーも参考にします(保険適応外、また日本人では陽性となる方は一部に限られます)。関節リウマチとは治療薬が異なる部分もあるため、しっかり見分けることが大切です。
治療
まずは痛みと炎症を抑える薬(NSAIDs)を使用します。皮膚の発疹や手足の関節炎には、メトトレキサートやアプレミラスト(PDE-4阻害薬)が有効です。
背骨の炎症が強い場合や、これらの薬で効果が不十分な場合は、生物学的製剤(抗TNFα抗体、IL-17阻害薬、IL-23阻害薬など)やJAK阻害薬を使用します。皮膚や腸の病気については、皮膚科・消化器内科と連携して並行して治療します。
背骨の柔軟性を保つ体操やストレッチを続けることは、姿勢を維持するうえで薬と同じくらい重要です。また、喫煙は病気の進行を早めるため、禁煙をおすすめしています。
「若いのに腰痛が治らない」「乾癬があって関節も痛む」という方は、ぜひ一度ご相談ください。整形外科の腰痛としてではなく、炎症の病気として診ることで治療法が見つかることがあります。

